最近、恋をした話をする
君を初めて見たのは
SNSだった気がする。
もう忘れてしまった。
スラリとした君は
短足な僕には、とても不釣合いで、
とてもお似合いではなかった。
だから距離を取ることにした。
なるべく君を見ないようにしたんだ。
どうせ無理なら
仲良くならない方が幸せだし。
「これでいい」
と自分に言い聞かせた。
平凡な日常が続く。
炭酸の抜けたビールのような毎日。
でも。
やっぱり忘れられなかった。
忘れようとするたびに思い出した。
そしてある日、
SNSで友達と写っている
君を見てしまった。
見てしまったんだ。
気がついたら、
足が動き出していた。
迷いなく走っていた。
君はいつもどおり、
お店で接客中だった。
ようやくだ。
ようやくここまで来た。
長かった。
あぁ長かった。
今まで何をしていたんだろう。
たったこれだけのことじゃないか。
何を恥ずかしがっていたんだろう。
君の手を取って走る。
突然で驚いていたけど、
君も笑っている気がした。
話したいことは
たくさんあったけれど、
最初の言葉は決めていた。
もう一度君を見る。
そして言ったんだ。
「これ、ください」
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